あの子はね、この学校で殺されてしまった子。


    とっても、とっても可愛そうな子。



    だから、此処に戻してあげたの。

























    「そんな・・・ちゃん、異界に行っちゃっただなんて・・・」

    「あまりにも早すぎるよ、陛下・・・・・・」




    全てが終わりを告げた後。
    空目はぽつりと、一言だけ告げた。


    “は異界に召喚されたモノと還った”と。


    それ以来黙りこくってしまったが、亜紀が推理し、粗方内容は理解した。
    少しだけ、空目の顔が哀しそうに見えたのは間違いではないだろう。




    コンコン

    「今日和、皆さん」




    突如現れたのは、魔女十叶 詠子。
    トイレの噂を流し、を学校に召喚した人物。
    皆、非難の目を向けた。




    「ふふ、これはあの子の為の物語」




    寒気がする程無邪気な笑顔を見せ、話を再開させた。




    「此処の学校の理事長が生贄を取っていたのは知っているよね?
     あの子は、1番最初に生贄にされてしまったんだよ。記憶は無いみたいだけどね」




    その言葉に、皆息を呑んだ。
    あの理事長の儀式の“生贄”。
    村神は焦燥を見せ、窓の外を眺めた。




    「何故こちらに引き込んだ?」

    「あの子が『異界から出たい』と言ったからだよ」




    空目の質問に、詠子は淡々と答えた。




    「でもまさか、こんなにも早く還っちゃうとはね」

    「それも分かっていたんじゃないのか?」

    「分からないよ、たとえ魔女でもね。でもそれは儀式をした子達があの子の寿命を縮めただけのこと」




    それを聞いた綾子が、驚いたように顔を上げ、俯いた。
    自分たちの所為で、を還してしまった。
    そう悟ったからだ。

    それを見て、詠子は嗤った。
    面白そうに、何か裏のある笑みを見せる。




    「じゃぁ、今日はここまで。またね、皆さん」




    先程の笑みとは違う笑みを見せ、文芸部を出て行く。
    沈黙が流れる中、空目は窓から校庭を眺める。そして、




    「・・・あやめ、付いて来い」

    「?・・・・・・は、はい」

    「どうしたんだよ、陛下」

    「・・・・・・」




    の問いかけに、空目は答えることなく部室を出て行った。
    皆疑問視を浮かべる。


    空目が見たモノ。

           それは、―――・・・・・・


















    空目は、先程らしき人影を視た所に居た。
    あの“鉄錆を含んだ枯れ草の匂い”がうっすらと感じ取れる。
    辺りを見回した。




    「・・・・・・

    「・・・え?・・・・・・何で、空目君が此処に・・・?」

    「異界か、此処は・・・」

    「あぁ・・・時々あるよね、“こちら側”が交わっちゃうこと」




    あやめと空目は、異界に居た。
    まるで空目が、あやめを見つけた時のように。
    は驚きつつも、2人に近寄った。




    「・・・・来ないか?俺たちの世界の方へ」

    「無理だよ」

    「“あちら側”のものを“こちら側”に引き込むことは既に成功している。
     だから・・・来い。どんな影響も全て受け入れる」

    「・・・・・・うん・・・」




    は涙を流しながら、空目に抱き着いた。
    そして、世界が元に戻った。


















    「ただいま、だね」

    「・・・行ったり戻ったりだな」

    「そうね。でも・・・今度は還らない、私の意志では」




    暖かな風が、駆け抜けた。













  END(居場所はやっぱり、貴方の横)



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