コン、コン、コン、コン―――・・・・・・・・




    「今何回目?」

    「31回目だよ。後ちょっと・・・」




    コン、コン、コン、コン、















    「花子さん、遊びましょう」















    静まりかえる薄暗いトイレ。
    目の前には“使用禁止”と書かれた個室のトイレ。
    4人の少女が、息を呑みながら見つめていた。











    「何も、起こらないね・・・・・」

    「言ったでしょ?何も起こらないーって」

    「でもさぁ・・・・」

    「取りあえず帰ろうよ。気味悪いしさ」

    「そうだねー」


    トイレから出て行く少女達。
    パチン、と言う音と共に電気が消え、闇が支配した。

    最近噂になっている、花子さんの噂。
    聖創学院の何処かにある“使用禁止”のトイレで行われる儀式。
    35回トイレのドアを叩き、『花子さん遊びましょう』と声を掛ける。
    すると『はい』と言う声が聞こえ、1つ願いを叶えてくれる。
    そういうものだ。

    紛れもなく少女達はそれを実行したが、何も起こることはなかった。
    しかし、




    「ついに来たね」




    突如、トイレに声が響いた。
    無邪気な笑みを見せながら、儀式を行ったトイレに近付く。
    その人物は、魔女、十叶 詠子。




    「隠れてないで出ておいでよ」




    詠子は話しかけた。
    数秒の沈黙。
    だが、それは起こった。







    ぎいぃ







    使用禁止だったはずのトイレから“何か”が出てくる。
    古びた金具の音と、濃密な“何か”の気配。
    詠子は、一層笑みを見せた。




    「おかえり、とでも言おうか」




    詠子は“何か”に近寄る。
    その表情に、恐怖、と言うモノ一切無い。
    そして、“何か”が姿を現した。





    「―――・・・・・・・・・・・」

    「わぁ、ちゃんとしたカタチを持ってるのね。さすが」

    「貴方が・・・私を此処に・・・・・?」

    「まぁそんな感じかな。それより、お名前は?」

    「名前・・・・・・?」




    現れたのは長い黒髪と、青い目を持つ少女だった。
    長い髪は闇と一体化してるようで、
    青い目は闇を照らす光のようだった。
    トイレの柱にもたれ掛かる少女は、ジッと詠子を見つめていた。





    「あぁ・・・そうか。記憶がないんだね。なら私が付けてあげる」

    「貴方が、私に名前を・・・・・・・?」

    「ふふふ、そうだよ。じゃぁ・・・・・・・

    「・・・・?」

    「うん、良い名前でしょ?さぁ、もう自由に動いて良いのよ」





    そう言うと、詠子はに手を差し伸べた。
    は少し戸惑いがちだが、詠子の手を取る。
    その手は、信じられない程冷たかった。





    「どうして、私を?」

    「ん?そうね・・・貴方が私に『異界から出たい』と話しかけたから」

    「そう・・・だったっけ」

    「少なくとも、私にはそう聞こえたよ」

    「ふぅん・・・・・・・・・」





    と詠子は暗いトイレを後にする。
    学院内の廊下も闇に包まれ、異界と同じような雰囲気を出していた。
    キョロキョロと、興味深げには周りを見渡す。





    「私、此処・・・・知ってるかも・・・・・・・・」

    「そうなの?じっくり思い出したらいいよ」

    「うん・・・・・ねぇ、貴方の名前は?」

    「十叶 詠子。みんな私のこと“魔女”って呼ぶんだよ」

    「へぇ・・・・魔女さんか・・・・・・」

    「そう、魔女。・・・そう言えば貴方の魂のカタチ、面白いのね」

    「魂のカタチ?」

    「う〜ん・・・・よく見えないけど、まるで“ニセモノ”みたいだね」





    詠子の謎の言葉に、は首を傾ける。












    そして2人は、暗い闇の中に姿を消した。





  戻る 進む

[★高収入が可能!WEBデザインのプロになってみない?! Click Here! 自宅で仕事がしたい人必見! Click Here!]
[ CGIレンタルサービス | 100MBの無料HPスペース | 検索エンジン登録代行サービス ]
[ 初心者でも安心なレンタルサーバー。50MBで250円から。CGI・SSI・PHPが使えます。 ]


FC2 キャッシング 出会い 無料アクセス解析