葡萄ジュースで乾杯を
「恭一、これあげる」
「・・・葡萄ジュースか?」
「うん。好きでしょ?葡萄」
「あぁ」
蒸し暑い日が続くこの頃。
そろそろ扇風機でも出そうか、そんな雰囲気の文芸部部室。
今は空目との2人きり。
は、近くの自販機で買ってきた葡萄ジュースを手渡す。
まだ冷えている感触に、涼しさを伺えた。
「考えてみたらさ、葡萄ジュースってちょっとえげつない色よね」
「・・・そうだな」
「乾杯しようよ」
そう言って、2人は詰めたい缶ジュースに手を掛ける。
ぷしゅっ、と言う音を出して飲み口が開ける。
それを手に持つ。
「ちょっと洒落てるかもね、乾杯」
「あぁ」
カツン。
2つの缶がぶつかり合う。
「・・・・・・冷たくて美味しい」
「すまん、買わせてしまって」
「気にしないで」
今度はいつ、乾杯しようか?
はそんなことを考えつつ、葡萄ジュースを飲み干した。
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