チェックメイト出来ない




















  「空目君、話って何?」



  昼休み、は同じクラスの空目恭一に屋上へと呼び出されていた。
  早めに行ったつもりだったが、既に空目の姿があった。
  少し生温い風が、2人―――否、3人の髪を揺らした。


  「・・・用件は、大体分かっているだろう?」

  「愛の告白かしら?」

  「・・・惚けるのは止せ」

  「ふふ、恐いなぁ・・・」


  鋭い目と、柔らかな目がぶつかり合う。
  それを心配そうに見るあやめ。


  「お前は此処に居てはいけない」

  「じゃぁ、横の子はどうなの?」

  「こいつは違う」

  「・・・良いなぁ、私もそんな存在になりたい」


  は、紛れもない“異存在”だ。
  そのことは空目と、あやめのみが知っている。
  珍しいことに、機関は気付いていない。
  それを良いことに、は此処で普通の生活を送っていた。


  「私を還らせちゃう?」

  「あぁ。機関に気付かれる前に」

  「もっと此処に居たかったのに・・・」


  は哀しい表情を見せた。
  それと同時に、うっすらと空目の顔から迷いの感情が見えた。
  あの空目に感情なんてあるんだ、なんては思った。


  「サヨナラだね、空目君。楽しかったよ」

  「・・・・・・あぁ。あやめ」

  「はい・・・」


  あやめの詠唱が始まった。
  酷く空間に響く声だった。
  にとってその声は、少し耳障りに聞こえる。
  身体に力が入らなくなっていった。


  目に、涙が溜まった。




  空目が、好きだから。




  離れたく、ないから。


  もっと一緒に、居たかったから。













  私は異存在だけど、ね。
















  「・・・・・・・・・・・・あやめ、止めろ!」

  「・・・ぇッ」


  それは、異界に完全に還る寸前だった。
  空目があやめの詠唱を止めさせた。
  驚きが隠せない。


  「空目君?どうして・・・?」


  そう尋ねると、空目がに近寄った。
  そして躊躇いがちに、抱き締めた。


  「・・・空目、君?」

  「やはり、出来ない・・・俺には・・・・・・・チェックメイトは不可能だ・・・」

  「馬鹿ね・・・還しちゃいなさいよ」

  「好きだ、・・・お前が、どんな存在でも・・・・・・!」

  「私も・・・好きよ。還りたくなんかない・・・!」


  2人は求めるように抱き合った。
  自分たちは、存在自体が違う。
  それでも、それでも―――・・・・・・好き。


  「限界まで、傍にいさせて・・・!」

  「あぁ、居てほしい・・・」







  いつかチェックメイトを打つ時が来るまで。
  どうか、私達を一緒にいさせて・・・





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