冷たい金魚















  「あー・・・死んじゃってる・・・・・・」




  3週間程前から、綾子は夏祭りで取ってき金魚3匹を部室で飼っていた。
  しかし最近の猛暑の所為か、3匹全てが水面に力なく浮いていた。
  綾子は哀しそうに、金魚鉢を抱える。




  「あれ・・・どうしたの?」

  「チャン・・・・・・それが、死んじゃって・・・」

  「最近暑かったからねぇ・・・どうする?埋めに行く?」

  「うん、下の花壇辺りで良いかな?」

  「えぇ、私も一緒に行くわ」

  「有り難う〜」




  2人は文芸部を後にして、1番近くの花壇に向かう。
  その花壇には、空へと届かんばかりに咲き誇る向日葵の数々。
  手で、黒く少し濡れている土を掘る。




  「水ごと入れて大丈夫かな?」

  「・・・待って。私が入れるわ」

  「え?でも・・・・・・」

  「良いの」




  そう言うと、は生温くなった金魚鉢の中に手を入れる。
  そして3匹の金魚を素手ですくい取った。




  「・・・冷たい。金魚って、こんなに冷たかったのね・・・・・・」

  「死んじゃってるからね・・・」

  「人間も、死ぬ時はこんな風に冷たくなるのよね」




  そっと、黒い土の中に金魚を置く。
  1度2人は手を合わせ、土を被せていく。





  「有り難う、チャン」

  「気にしないで。金魚だって生きてたんだから、手を合わしてあげたいわ」

  「優しいんだね・・・」

  「そんなこと無いわ」




  冷たい金魚は、いつか土に還る。
  冷たい金魚は、いつか生まれ変わる。





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