キ ス
「ねぇ、恭一」
「・・・なんだ?」
空は黒に包まれている頃、文芸部には2人の姿があった。
みんなには気付かれないよう、ひっそりと付き合っている空目と。
いつものように、みんなが帰ってからしばらくは2人きりで居て、一緒に帰る。
そんな毎日を送っていた。
「キス、したい」
2人きりになったとは言え、それらしい雰囲気になったことは数少ない。
絶交のチャンスだというのに、空目は本ばかりに目を向けている。
はそれに耐えかね、行動に出たのだ。
「・・・・・・良いのか?」
「へ・・・?何が?」
「・・・そんなことしたら止まらなくなるぞ、ということだ」
「ッ!」
空目の意図に気付き、カッと顔を赤く染めた。
その間にも、空目は読んでいた本を鞄にしまいを見据える。
「・・・良いよ?恭一なら、良い」
「・・・・・・そうか」
そう言うと、空目は顔を近付け優しく口付けた。
何度もついばむようにして。
そして少し立つと、の唇を下でこじ開け侵入する。
「んっ!んぅ・・・・・・んん・・・ッ」
深いキスをしながら、空目は椅子に座っていたを立ち上がらせ机に寝そべらせた。
その行動には一層顔を赤らめ、目をきつく閉じた。
「んは・・・はぁッ・・・・・・」
キスが終わると同時に、息を切らせながら呼吸を整える。
上には空目と天井、下には机、横には空目の手。
心臓は高鳴る一方だった。
「止めておくか?」
「なっ・・・止めないでよ・・・・・・止まらないって言ったのは恭一でしょ・・・?」
「そうか」
そう言って、2人の影は静かに重なった。
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